AirTagの登場で話題に上がることが増えてきたU1チップ。
でもApple公式サイトで名前があまり登場しないんですが、知っておかないと説明できないことも多いチップなので、今回はAppleの「U1チップ」について説明します。
U1チップって
Apple U1チップは、Appleが設計したチップ(SoC) の一つですが、その機能はApple製デバイスをUWB(超広帯域無線)に対応させるための専用チップになります。UWBが一般向け製品に搭載された初のケースにもなります。
通信範囲はごく近距離だが高速通信の他に位置検出が可能などといった特性を持つシステム。
特徴:
・消費電力が少ない
・妨害電波に強い
・高速通信が可能。ただし近距離。
・位置検出の制度が高く、誤差は数cm以内。
・半径10m以内の近距離での使用を想定
UWBを搭載するデバイス同士の距離を正確に測定することができ、指向性のあるAirDrop機能やAirTag機能が利用できます。
発表は2019年9月10日現地時間に行われたApple Special Eventにてされました。その時発表されたiPhone11シリーズに搭載されたのがスタートになります。
<U1チップ 搭載デバイス>
iPhone | AppleWatch | アクセサリ他 |
シリーズ14 | ULTRA | AirPodsPro(2nd)のケース |
シリーズ13 | シリーズ8 | AirTag |
シリーズ12 | シリーズ7 | HomePod mini |
シリーズ11 | シリーズ6 |
iPhoneSE(第2世代)およびiPhoneSE(第3世代)には非搭載。
HomePod miniおよびAirTagトラッカーで使用されています。
このU1チップが搭載されたおかげで、近距離ではありますが、高速でAirDropを使ったデータ転送や、AirTagなどに代表される数10cm単位で位置情報を検出することが可能になりました。
位置情報を探す
Apple製品は、ネットワークにつながっていれば、位置情報をiPhoneやMacなどで探すことができます。
基本的には所在地を地図上で確認できますが、AirTagやAirPodsProなどは更に詳細に位置を確認することができます。
AirPodsProなどとAirTagの探すの違い
現在はAirPods3やAirPodsProなどでも「探す」機能でAirTagと似たようなUIで場所を探すことが出来るようになっています。
ですが、AirPods系はU1チップは非搭載のため、Bluetooth機能を利用して探しているようです。AirPodsがBluetooth圏内にあれば「探す」のサウンド機能を使って音を鳴らして探すことも可能です。ただ、イヤホン本体から音を出す為ケース内に入っている場合は音が小さく聞こえづらいです。ケースから出ている場合はそれなりの音量でサウンドが鳴るため探しやすくなります。
2022.9月に発売されたAirPodsPro(2nd)では、ケース部分にU1チップが搭載され、「探す」機能でケースを鳴らし、U1チップによってより正確に位置情報がわかるようになりました。
AirPods系は圏外や充電が必要でオフラインになっている場合は探せません。最後に確認された位置情報が表示され、AirPodsが再びオンラインになると使用していたデバイスに通知が届きます。
そのため、非常に近くにあってもなかなか「探す」で検知してくれないことも多いです。
AirTagはU1チップを搭載しており、それ自体から位置情報を発信してくれているので、おなじくU1チップ搭載のiPhoneで「探す」とすぐに反応してくれます。1年以上はもつボタン電池搭載のため電池切れの心配もありません。方向や距離なども表示してくれますし、サウンドで位置をおしえてくれる際の音量もよく響いて聞こえやすいです。
AirTag登場などで非常に便利と感じるようになったU1チップ。ぜひ無くしそうなデバイスにはAppleさん軒並み内蔵してくれると助かるんですが・・。
イヤホンもそうですが、AppleTVのリモコンにもつけてくれたら嬉しいな。
HomePod miniからiPhoneへ オーディオの引き継ぎ
HomePod miniにはU1チップが搭載されています。
そのため、U1チップ搭載のiPhoneとHomePod mini間では、お互いを近づけるだけでオーディオを引き継げます。
HomePod miniで音楽を聞いていたけど、これから外出するから続きはiPhoneで。
iPhoneで音楽を聞いていたけど、自宅に戻ったので続きはHomePod miniで。
といった事が簡単にできます。
AirDropをより快適に
U1チップがない時代でもAppleはAirDropを使うことが可能でした。WiFiとBluetoothを併用した技術を使っていましたが、U1チップによってより正確に位置や距離を把握できるようになり、データ転送もスムーズになりました。
<未来> 自動車やドアのロック解除ができる
これから利用が注目されるジャンルでは自動車に近づくとロック解除できるシステムやホテルや自宅などのドアのロックや解除が出来る機能。
AppleWatchのシリーズ6以降はU1チップが搭載されています。
この機能を使って、AppleWatchを身に着けていれば、自宅に近づけは玄関ドアのロックが解除されて、車の鍵もスマホやAppleWatchの中に・・という時代が来そうです。
BMWでは、すでに「Car Keys」機能を搭載した車種(2020年7月1日以降に製造された一部車種)が発売されており世界で最初にCar Keysを提供しています。
2020年7月1日以降に製造された、1シリーズ、2シリーズ、3シリーズ、4シリーズ、5シリーズ、6シリーズ、8シリーズ、X5、X6、X7、X7M、X6M、Z4で。
Appleの比較ページでは「U1」とは記載していない
Apple公式サイトのデバイスの比較などの詳細では「U1チップ」とは記載されていません。
iPhoneの比較ページでは「携帯電話/ワイヤレス通信方式」の欄に記載。
上記のように、U1チップ搭載デバイスには「空間認識のための超広帯域チップ」と記載があり、非搭載のiPhoneSE(第3世代)には記載がありません。
まとめ
U1チップは今、Apple製品の中にどんどん組み込まれていっています。
今現在はAirTagなどの忘れ物防止や、AirDrop、デバイス間のやりとりで使われていますが、スマートホームや自動車や家電製品などにもこの技術が使われるようになっていくことが予測されます。
今後のOSの進化やデバイスの進化にあわせて、この組み込まれたU1チップがもてはやされる時が来ると思われます。
Appleはいち早く製品の中に未来につながる機能を搭載しています。その機能がこれからどんどん花開いていくと思うと楽しみですね。