2022.6.7(日本時間)スタートしたApple「 WWDC2022」において、Mac用AppleシリコンのM2が発表され、同時にM2搭載の新型MacBookAirとMacBookPro13も発表されました。(発売は7月を予定)
2020年11月に登場したM1から1年8ヶ月ぶりに登場したM2はどのような進化をしたのか、まとめたいと思います。
今回、M1の後継チップM2が発表されました。
このチップがどういうもの知ることで、他のチップとどう違うか比較し、そのチップが組み込まれた端末が他の製品とどう違うかを推測することが出来ると思います。
WWDC2022の中で発表されたものを日本語でそのまま載せています。
注記が必要と思われたものや用語に関しても間にリンクや説明、感想をはさんでみました。
「M1」の後継チップ「M2」
今日私たちはMacのために特別に設計された第2世代のAppleシリコンを発表します。
Appleが開発したSoC(システム・オン・チップ)。iPhoneから使われ始めほぼすべてのApple製品に様々な種類のAppleシリコンが使われている。Macでは近年Intel製のチップが使われていたが、2020年にMac用にM1という名称で初めてMacにも採用。M1、M1Pro、M1Max、M1Ultraと拡張版を次々と発表。今回、M1の後継としてM2を発表。
iPhone用には「Aシリーズ」、ヘッドフォンなどに「Hシリーズ」Mac用には「Mシリーズ」といくつかのシリーズが存在します。
Appleシリコンを紹介するのはこの人。おなじみJohnyです。
Johny Srouji
SVP,Hardware Technologies (ハードウェア・テクノロジー部門 上席役員)
Mシリーズのチップは拡張可能な幅広いパフォーマンスと機能を実現します。
始まりは私たちの最も人気のシステムを一変させたM1の画期的な一連の機能でした。
M2はMシリーズの第2世代のチップでM1の素晴らしい機能をさらに超えています。
業界の他社はパフォーマンスを高めるために使用電力量を大幅に増やしますが私たちのアプローチは違います。
私たちは徹底して電力効率の高いパフォーマンスを追求し続けます。
つまり消費電力を最小限に抑えながらパフォーマンスを最大化するのです。
ユニファイドメモリーアーキテクチャやカスタムテクノロジーと組み合わせ電力効率を追求することによりM2は最も人気の高いMacにより優れたパフォーマンスと新機能をもたらすことができます。
200億以上のトランジスタ
M2は強化された第2世代の5nmのテクノロジーを用いて作られ200億以上のトランジスタを搭載しています。これはM1から25%の増加です。
100GB/sのユニファイドメモリ帯域幅
私たちはこれらのトランジスタを使いチップの全機能を強化します。まずは100GB/sのユニファイドメモリ帯域幅を実現するメモリコントローラです。
これはM1から50%の増加でより優れたパフォーマンスをもたらします。
またM1は非常に有能なのでユーザーはあらゆる負荷の高い作業を行います。
最大24GBのユニファイドメモリ
ですからM2ではより大きくより複雑なワークロードを処理できるよう最大24GBのユニファイドメモリを実現しました。
M1では最大16GBまでしかなかったよ。
「もう少しだけメモリ増やしたい・・」
といった意見が多かったんだ。
M1より18%性能がUPした8コアCPU
M2の性能コアと効率コアの両方が進化した次世代のCPUを搭載しています。
性能コアはより高速でより大容量のキャッシュを備え、効率コアはより優れたパフォーマンスを発揮するよう大幅に強化されています。
これが一体となりCPUを駆使するタスクをごくわずかな電力でこなします。
M2のマルチコアCPUのパフォーマンスをM1と比べると18%優れたパフォーマンスを発揮します。
また最新の10コアのノートパソコンのチップと比べてM2のCPUは同じ電力レベルで2倍近く速いパフォーマンスを発揮します。
更にM2はそのノートパソコンのチップのピーク時のパフォーマンスを4分の1の電力で発揮します。
M1と同じ8コアCPUだけどパフォーマンスは上がってる
他社の10コアCPUよりも省電力で高性能なんだね
発売後のベンチマークも気になるね
次にパフォーマンスを高めるためにより膨大な電力を必要とする最新の12コアのノートパソコンのチップとM2を比べてみましょう。
つまりバッテリー駆動時間がより短くより分厚くより熱くよりうるさいシステムです。
M2は12コアチップのピーク時のパフォーマンスの約90%を
わずか4分の1の電力で発揮します。
これがAppleシリコンの電力効率の高いパフォーマンスというものです。
他社の12コアのCPU性能には
もちろん勝てないけど
そのチップの90%の性能を
4分の1の電力でこなせるんだ
最大10コアのGPUはM1の35%性能UP
M2はM1より2コア多い最大10コアの次世代のGPUも搭載しています。より大容量のキャッシュとより大きなメモリ帯域幅を組み合わせ10コアのGPUのグラフィックスパフォーマンスは大幅に向上します。
M2はM1と同じ電力レベルではグラフィックスパフォーマンスが最大25%高く
最大の電力レベルでは最大35%高くなります
また最新のノートパソコンのチップの統合型グラフィックスと比べてM2のGPUは同じ電力レベルで2.3倍速いパフォーマンスを発揮します。
更にM2はそのノートパソコンのチップのピーク時のパフォーマンスをわずか5分の1の電力で発揮します。
M2のGPU性能はオンチップ型のグラフィックスと比べると処理能力が高い。
グラフィックボード搭載ノートPCには性能面で勝てないかもしれないけど通常のノートパソコンではライバルはM1シリーズぐらいかも。
M1よりも35%も性能は上だ。
高性能だが省電力 バッテリー駆動時間が長い
こうしたM2のはるかに高いワット当たりのパフォーマンスによりシステムが熱くならず静かに作動し並はずれたバッテリー駆動時間を実現します。
独自のシリコンを作る利点の一つは最新のカスタムテクノロジーを私たちのすべてのシステムオンチップに素早く適用できることです。
Neural Engineは最大で毎秒15.8兆の演算が可能に
ですのでM2は次世代のSecure EnclaveとNeural Engineも搭載しています。
Appleにおいての「Neural Engine」とは、機械学習関連の処理に特化したSoC(システム・オン・チップ)の一部をさします。
下記のページで色々かみくだいて説明していますので、気になる方はそちらをご覧ください。
M2のNeural Engineは最大で毎秒15.8兆の演算を行うことができます
M1から40%以上の増加です。
次世代のメディアエンジンを搭載
M2は次世代のメディアエンジンも備えています。
これにはH.264とHEVCの8Kビデオに対応したより広帯域幅のビデオデコーダが含まれます。またM2は高速なハードウェアエンコードとデコードのためのパワフルなProResビデオエンジンも搭載しています。ですからM2システムでは複数の4Kと8Kのビデオストリームを再生できるようになります。
H.264とは正式名称「H.264/MPEG-4 AVC」という動画コーデックです。2003年に国際規格となり、圧縮率は、MPEG-2の2倍を実現しています。
よく目にするMP4やAVIと比べて高画質の映像を見ることが出来るファイルフォーマットでもあります。
今では世界中で使用されており、PCブラウザやスマホ、Webなど様々なところで利用されています。
Youtubeやニコニコ動画などでも設定されており、とても汎用性の高い方式です。
フレームレート60fps、画質は4Kまでサポート。
しかし、H.264より更に圧縮率の高い動画コーデックのH.265なども2013年に国際規格としてあり、H.264の2倍の圧縮率を誇り、「300fps」と「8K」までサポートされています。AppleやAmazon、Netflixなどもこの方式を採用し、次世代の技術と言われています。HEVCの正式名称がH.265。
H.264の利用用途としては「テレビ電話からハイビジョンテレビ放送」を想定
HEVCとは正式名称「H.265」という動画コーデックです。H.264より圧縮効率が優れています。H.265(ISO/IEC 23008-2 HEVC) H.264の2倍の圧縮率。
4K/UHD、高速通信5G、ストリーミング配信が本格化する時代に向けて普及していく圧縮形式といえます。
iPhoneやGoProなどのカメラ撮影でも採用されています。
対抗規格としてGoogleが開発しているVP9があります。
M1にはなかったメディアエンジン。
M1ProやM1Maxなどには搭載されています。
ビデオなどの処理が速くなりそう。
この部分も今後注目されそうです。
M2 まとめ
これがM2です。次世代のMシリーズチップの始まりです。
18%速いCPU
35%速いGPU
40%速いNeural Engine
そして50%大きなメモリ帯域幅
M1の素晴らしいパフォーマンスと性能と効率を更に進化させます